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昨シーズンからスノーボードマーケットで一気に勢力を拡大したのが「ロッカーボード」。「リバースキャンバー」と呼ぶメーカーもあります。しかし...たった1年で一気に数が少なくなってしまった!?いやいやロッカーは更に進化を遂げてフライングV(ダブルキャンバー)へと昇華したのです。バートンのカタログでも、まずフライングVを始めとするロッカーボードのラインナップが登場します。フライングV、Vロッカー、EZ Vロッカーすべてを合わせれば、やっぱりロッカーボードは勢力を更に広げていることになります。
知らない間に、聞いたことのない言葉が溢れかえっているというアナタのために、「そもそもロッカーってナニ?」ってところから説明しましょう。
そもそも「ロッカー」ってなんなのよ?
これまでのスノーボードのソール(裏面)は真ん中がへこんだ「キャンバー」というスキーの構造をそのまま移植した形状でしたが、「ロッカー」はまったく逆の発想で、ソールの真ん中が膨らんだサーフボードの構造にヒントを得た形状をしています。

「ロッカー」だとどうなるの?
これまで「スノーボード上達への道」では「スノーボードはエッジコントロールが一番大事」だと書いてきましたが、「ロッカー」になることでそのエッジが大きく変わることになります。「キャンバー」構造だと常にめり込むチカラが加わっていたノーズとテールのエッジが、「ロッカー」構造では浮き上がろうとします。ですから足を引き上げれば簡単にエッジがオフになり、逆エッジのようなミスが減ることになります。もちろんエッジが必要なカービングの時には、これまで通りエッジを雪面に押し付ければエッジが利きます。
本当にこれまで通りにカービングができるの?
その心配を解消してくれるのがバートンの(プレッシャーディストリビューションエッジ改め)フロストバイトエッジです。オフエッジの状態になりやすい「ロッカー」ボードには、バインディング下に強化エッジ部を設置。邪魔な時はオフ、
必要ならオンにできる「都合の良い」エッジコントロールが可能になりました。
自分のスタイルに合うのかな?
グランドトリックやジブに興味があれば「ロッカー」ボードをオススメします。あと意外に思われるかもしれませんが、パウダースノーにも向いています。なぜならサーフボードの「ロッカー」はもともと小さな波でも浮力を得る目的で考案されたのですから、「ロッカー」ボードは軽いパウダーでも浮力を得られるのです。ミスエッジが減るので、新しいトリックに挑戦しやすく、180°から360°、360°から540°へとステップアップする際の大きな武器になり得ます。
良いことばっかり?デメリットは?
高速でのライディング中には注意が必要です。積極的にカービングしている時は強化エッジが利いていますが、エッジに体重がかかっていない瞬間には、ライン取りにミスする可能性があります。超高速ライディングよりは、トリックを織り交ぜながらゲレンデクルーズするぐらいのスピードが一番「ロッカー」ボードの良さを感じれるスピードだと思ってください。それとスピンした後に思った以上に回り過ぎるロールアウトすることがあります。
「ロッカー」ボードの種類は?
上の図のV-ロッカーの他に、真ん中が平らな安定感のあるEZ Vロッカー、パウダースノーの浮力を最大限に受け止めるS-ロッカー、トラビスやダニー・キャスモデルに採用されたロッカーの進化形ダブルキャンバー(C2BTX)、バートンはこれをフライングVロッカーと呼びます。
プロライダーはどう評価しているの?
注目はもちろん絶対王者、圧巻のゴールドメダリストショーン・ホワイトですが、彼のモデルはこれまで通りキャンバーです。ユシ・オクサネンも、ジェレミー・ジョーンズもキャンバーをセレクトしていますが、ダニー・デービスの乗るEASYLIVINは昨年からフライングVモデルも出しています。しかしフライングVモデルは人気で、現在はキャンバーモデルしか残っていませんね。
他にジャック・ミトラーニやクリス・ソーマン、ガビ・ビテリのような注目を集めるアップカマーが「ロッカー」ボードの開発に熱心で、彼らの意見がフィードバックされています。
「スノーボード界のカリスマ」テリエ・ハーコンセンは「S-ロッカー」を採用したMALOLOをチョイスしています。
早くからシグネイチャーモデルに「ロッカー」を採用しているのがリブテック所属のトラビス・ライス。導入当初は「キャンバー」「ロッカー」の両モデルをリリースしていましたが、一昨年はパウダー専用の「ロッカー」モデルを追加、昨シーズンから「ダブルキャンバー」の1本に絞りました。同じくリブテックのジェイミー・リンも今年は「ダブルキャンバー」モデルです。冬季五輪ハーフパイプ2大会連続銀メダルでショーンのライバルダニー・キャスは「ダブルキャンバー」です。フォーラムのピーター・ラインも「ロッカー」ボードをデザインしました。
さてそれでは僕自身のロッカーボードに乗った感想です。僕のボードはリブテックのトラビス・ライス2009ロッカーモデルで、フロストバイトエッジの代わりにマグネトラクションが採用されています。
まず普通にすべる分にはそれほど変わりはありません。少してこずるのかと不安と期待を胸にすべり出しましたが、曲がりたい時に曲がれます。カービングしにくいダックスタンスでしたが、不自由感は特になし。強化エッジということで、パイプのウォールも流れることなくキッチリ登ります。驚くべきは、やっぱりグランドトリックですね。これでもか、これでもかというくらい転ばないです。エッジに気づかうことなく回り続けていても、板が平らな間はびっくりするほどエッジがかかりません。まあギャップがあればひっかかるでしょうけどね。それとエアートリックですね。360°スピンで「あっ、回り切らない」って思っても、ランディングしてからも板が簡単に回ってくれるので転ばず、むしろ緊張感はないくらいかも。新ワザにチャレンジする時は、ロッカーボードが勇気をくれることでしょう。
正直なところもっと「てこずりたかった」というのが個人的な感想なくらいイージーです。難点を挙げろと言われれば、選んだ板が硬めでミッドワイド、少し重めということで、「バートンのロッカーボードに乗ってみたい」と感じたぐらいですかね。もっと板が柔らかければプレスも簡単なのだろうなぁって。構造上、キャンバーボードに較べてオーリーのプッシュが弱くなるんですが、せいぜい2〜3センチくらいの話。その分、オーリーの先行動作はやり易いので、むしろメリットと考えたほうが良いかも。
両端のエッジが浮くということは、取り回す時に板が短く感じますし、カービングしようとすれば有効エッジ全体を使うことができるという面で、短い板と長い板の良いところを兼ね備えているとも言えます。これまでの「有効エッジが長い=取り回しにくい」という常識は通用しなくなります。
上級者にはV-ロッカーがオススメです。V-ロッカーは特に不安定さの魅力を感じます。「グランドトリックはまずバランスを崩す」と書いてきたように、安定感のあるキャンバーよりもトリックに入りやすいです。
バートンのプロ仕様のロッカーモデルが少ないのは、今活躍しているプロライダーはこれまでキャンバーボードで成功を手にしているワケですから、わざわざ新しいボードに変える必要がないということでしょうかね。あとスピンのランディングが流れてロールアウトすればコンペティションでは減点対象になりますしね。
今持っている技術を極めたいという人はこれまで通りキャンバーを、失敗を恐れずにもっと新しいことにチャレンジしたい人はロッカーをチョイスするのが良いと思います。
購入に際しては、できれば今持っているボードが生きているうちに、セカンドボードとして買うのがベストだと思います。「どれにしようか迷う〜」って状況なら選びにくいですが、グラトリ・パーク用に欲しいなぐらいの気持ちで買うのが正解でしょう。ゲレンデの状況にもよるでしょうから。たとえば圧雪されたバーンではもちろんキャンバーの板の方が楽しいですし、春のベシャ雪ならロッカーの板の方が疲れず上手くすべれるはず。これまでのように、すべて同じ構造の板の中からデザイン・長さ・硬さで選ぶのではなく、正反対の特徴を持った板を選べるのですから、選択肢が増えるのはとても良いことだと思います。
ではフライングVはどうでしょうか?
C2BTXとかガルウィングとも呼ばれますが、短いキャンバーをV-ロッカー形状に繋げたダブルキャンバー構造が特長です。ダブルキャンバー構造は、もともとノルディックのスキーに使われていて、踏み込めば強くエッジが利き、足を上げれば雪離れが良いという特徴があります。高速ライドにも対応するロッカーボードと言えるでしょう。ロッカーよりも更にトリック色が強くなったか?と言えばNO!フライングVとは、実はV-ロッカーとキャンバーの中間と言えます。
ロッカーに興味があるけど、これまでのような楽しみ方は失いたくないというスノーボーダー達への新たな選択肢ということになります。しかしもちろん「中途半端な性能」ということではありません。バートンの代名詞とも言えるカスタム、更に業界最高レベルのメソッドにフライングVが採用されたことの意味を考えれば納得できるはずです。フライングVモデルは現在非常に注目されていて、品薄になっています。
フライングVが完成形?
バートンが最新のスプリングローデッド構造を発案し、試験的にレイトモデルに採用しています。「潰した箱」と名づけられたニューモデルはこれまでのどの板よりも複雑にキンクしています。簡単に言うと左右それぞれの足の下に台形の空間ができるような構造です。これまでよりずっと強い浮力が得られそうですが、このスクィーズボックスが未来のスタンダードになり得るかどうかは、今のところ未知数です。乗ってみた感想をお待ちしております。
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